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Teamプロジェクトチーム

土浦協同病院
プロジェクトチーム

県南の医療拠点となる大規模プロジェクト

病床数800床、職員数1500人、地域の中核病院である土浦協同病院は、旧病院から6㎞ほど離れた高台に、最先端の技術と設備を誇る急性期総合病院として、平成28年3月1日移転新築オープンした。広大な敷地に延べ面積約8万㎡の病院新築は、ヘルスケア・ドメインとしても最大規模であり、その後の大規模プロジェクトに取組むきっかけとなった。本施設では基本計画の再構成から始まり、基本設計、実施設計、さらに監理までを手掛けている。

  • 竣工
    2015年10月
  • 所在地
    茨城県土浦市
  • 用途
    病院
  • 規模
    延面積約78,895㎡ 地上10階
  • 構造
    [病院本体]柱RC、梁S混構造、一部S造
    [放射線治療棟、エネルギー棟]RC造
  • 病床数
    800床
  • プロジェクト期間
    2010年12月~2015年10月(竣工)

土浦協同病院
プロジェクトチーム

県南の医療拠点となる大規模プロジェクト

Team Member

SATOSHI YASUKAWA

安川 智

1993年入社

ドメインリーダー
意匠設計

NAOHIDE TAKAHASHI

髙橋 尚秀

2010年入社

意匠設計・監理

YUTO KANAI

金井 勇人

2010年入社

意匠設計・監理

TETSUYA HAYASHI

林 哲也

2009年入社

副主幹
意匠設計

TEPPEI TSUJINO

辻野 哲平

2011年入社

意匠設計

FUMIAKI SAITOU

斎藤 文明

2013年入社

副主幹
監理

Interview

「最新、最先端」をテーマに最大規模の病院設計に挑戦

髙橋

土浦協同病院は、中核病院として県南の医療の拠点であり、かつ地元の多くのみなさんが通われる病院です。院長先生の思いである「すべてにおいて最先端」というテーマのもと、医療施設としての機能だけでなく、運営の考え方や親しみやすさ、病院のブランディングなども常に意識していました。

髙橋

各部門の規模が大きいため、平面形の軸としてホスピタルストリートを東西に貫く形で設け、来院者や職員の方々の動線をわかりやすく、さらに施設の機能を有機的に繋げられるような平面計画としました。

安川

また、私たちの仕事は施設的に特徴をつけていくことでもあります。ハイレベルなドクターを擁する人材や医療機能の面で、『エリアナンバー1』であるという本病院の自負されるところに対して、応えていかなければと思いました。例として、通常は1フロアを2看護単位とする病棟を、4看護単位で構成し、800床という規模にもかかわらず、建物の高さを抑えました。低層部は平面的に規模が大きく、窓のない奥まった部屋ができてしまうところですが、4つの光庭を作り、そこから空気や光を取り入れることを初期段階から計画し、環境や設備的な面でも配慮しました。このような骨格は、来院する方が感じる気持ちよさ、使いやすさに反映されますので、最後まで変わらずに守っていました。

膨大なコミュニケーションは、対面と図面で語る

安川

病院の設計は、各セクションといろいろなヒアリングや打合せが必要です。一般的な縮尺ではA1図面に入りきらないほどの規模だったこともあり、通常2〜3人の基本設計メンバーのところ、今回は当初から、意匠設計者4~5人でヒアリングに対応しました。

8万㎡という想像困難な規模でしたが、ヒアリング~検討~図面化という流れは変わらないということを確認しながらのぞみました。私にとっては、ヒアリング内容の図面化の段階で、難しさを感じる場面が多かったです。そのため、社内、社外を問わず、コミュニケーションを密に図るよう努めました。打合せ相手や連携を取る方の人数が多いほど、情報を円滑に、かつオープンに伝えていく大切さを再認識しました。

髙橋

ヒアリングの結果の情報は、それぞれが図に落とすことで共通認識となります。プロジェクト会議、チームミーティングを毎週行っていましたが、それ以外の場面でもコミュニケーションはとても大切です。基本的なことですが、図面を実際に書くにあたり、些細な事でもその都度、周囲に確認しながら作業していくことが、後戻りの防止にもなり、スピード感が求められる場面ではとても大切になってきます。

本プロジェクトでそれぞれに吹いた新しい風 ~ 開けた建築は開けた現場から。

安川

土浦協同病院の設計を通して、情報の共有、コミュニケーションをシステム的に行う必要性に気付き、かつ実践しました。同じ医療設計に携わる者でも、これまでの経験や知識がそれぞれ異なります。また、病院の方々は、建築関係の言葉や考え方を、すぐには理解できません。例えば、建具の設計の場合、開き戸か引き戸かなどのタイプやサイズ、窓の有無、形状などを分類、『こういう時はこの様なものにしましょう』というルールを設け、それを一覧表に視覚化しました。社内の協議や作業、病院とのヒアリングでも、これに基づいて打合せを行うことで、短時間で確実な意思疎通につながりました。

チームワークの意味でもまとまっていたと思います。病院各関係者とのコミュニケーション、各部門との技術的なヒアリング、平面詳細や矩計図の起こし、実施図面の作成、構造や設備などの技術部門との調整、現場での監理など、各担当者がそれぞれに責任を持ってかつ連携を保ちながら、業務を進めることができました。この点でメンバー各々のレベルアップがとても大切だと感じています。

辻野

私は会社に入って間もない頃で、このような大規模な設計に携わるというのはとても嬉しくもあり、難しかった経験でしたが、先輩方と密にコミュニケーションを取れたことは自分の成長につながりました。ここで見聞きしたことの中には、当時は理解できず、別のプロジェクトに参加して初めて、「このことだったのか」と納得するものが多くあります。文字通り「経験を活かす」、その出発点といえるプロジェクトです。

斎藤

私は、本件が初めての常駐監理だったのですが、髙橋、金井、二人の設計者と一緒の赴任でしたので、疑問点はすぐに確認し、現場に反映することができました。スムーズな業務の流れというものを実感できました

金井

施工現場というものは、いわば「1分の1のものを作っている」ということで、私たちが建設会社の所員に伝えた内容が、千人、二千人の職人全員に行き渡る、その責任感と決断力の重要性を肌で感じていました。その意味で、やはり齋藤と同じように、日々の業務でのスムーズな情報の流れを感じていました。そうでない場面も多々ありましたが。

安川

また、本件はES(エネルギーサービス)事業を採用した初期の案件でした。設備機器を建設工事として病院が購入するのではなく、エネルギー供給会社が、設備機器を設置し、エネルギー供給とその保守点検を行うというもので、病院は医療に専念することができます。このこともあり、土浦協同病院のチームは梓環境賞も受賞しました

情報共有の要はブレない軸

金井

今回の現場監理では、所員間の連携がとてもよかったと思っています。規模に対して意匠設計の人数は少なかったのですが、髙橋を先頭に担当分けの了解が自然にできていました。情報を共有するの中で、それぞれの作業範囲を相互信頼しているため、自分の作業に集中することができました。

髙橋

金井が言うようにいいチームでしたね。私が常に思っていたのは、設計内容がオムニバス的にならないようにということです。各人がそれぞれに作業している中で、互いを意識しながら情報共有を行う、その中で、あの敷地にいる私の役目としてブレないことが大切だと思っていました。言葉では表現しにくい、暗黙の大きな方針・軸というものに、自分自身が常に問いかけていました。

髙橋

一年検査で改めて病院を訪れた際、(検査の最中なのですが)職員の方々から評価の言葉をかけていただきました。皆さんが建物を使い始めてからの言葉でしたので、素直にうれしかったですね。

安川

その後、同じ発注者様から、県内の別の病院の設計を受注させていただきました。ご評価いただいたとともに、挑戦の場をご提供いただいたことに、とても感謝しています。

その他関連実績