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Teamプロジェクトチーム

新千歳空港国際線旅客ターミナルビル施設再整備
プロジェクトチーム

成長する空港の将来を見据えた、増築と大改修

インバウンドの急増などを背景に、国際線利用客数が大幅に伸びている北海道・新千歳空港。2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けてさらに増加する旅客の受入れを視野に、2015年冬から国際線旅客ターミナルビル施設の再整備計画を開始。梓設計を含む4社JVで設計にあたり、梓設計は主に旅客ターミナルビルの外観デザインと、民間部分の内部機能デザインを担当。2017年夏に設計が完了し、2017年冬から工事監理に携わっている。

  • 竣工及び部分供用予定
    [竣工]2019年1月(AB工区)、2020年3月(C工区)
    [部分共用]2019年8月(旅客取扱部)、2020年1月(ホテル部)
  • 所在地
    北海道千歳市
  • 用途
    旅客ターミナルビル、ホテル、ホール
  • 規模
    国際線旅客ターミナル(既存+増築)約144,500㎡ 地上8階地下なし(内、ホテル部分 約20,500㎡、既存ターミナル部分 約61,000㎡)
  • 構造
    鉄骨造
  • プロジェクト期間
    2016年3月~2017年7月(監理期間2017年8月~2020年3月予定)
  • 設計JV
    株式会社 日本空港コンサルタンツ、株式会社 梓設計、株式会社 山下設計、株式会社 えんれいしゃ

新千歳空港国際線旅客ターミナルビル施設再整備
プロジェクトチーム

成長する空港の将来を見据えた、増築と大改修

Team Member

YUUICHI YAMAGUCHI

山口 雄一

2008入社

主任
意匠設計

MASATOSHI HAYASHI

林 将利

2012年入社

主任
構造設計

JYUNICHI MATSUMOTO

松本 純一

2012年入社

主任
機械設備設計

KAZUNARI HASE

長谷 一成

2015年入社

主任
電気設備設計

SHOUTAROU GOTOU

後藤 正太郎

2015年入社

意匠設計

Interview

既存のデザインと一体感を持たせながら、新たなデザインと構造を考えつくす。

山口

2010年に供用が開始された新千歳空港国際線旅客ターミナルビルですが、近年の外国人旅行客の爆発的な増加に対応した規模の拡大や、今後予定されているラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックを見据えたサービスレベルやセキュリティレベルの向上、ホテル機能の追加といった様々な対応を行うのが今回の「新千歳空港国際線旅客ターミナルビル施設再整備」プロジェクトです。規模は既存の倍以上となり、既存の旅客ターミナルビルも大々的に改修する計画です。既存の建物に対していかに一体感がありながらオリジナリティのあるデザインを実現できるか、ホテルやホールを加えた複合用途となる建物を、より安全で機能的なものとして実現するために、既存の旅客ターミナルビルも含めてどのように解いていくかが、意匠・構造・設備設計共通のポイントになりました。

既存の国際線ターミナルビルは、国内線ターミナルビルと繋がる連絡通路を中心線に南北左右対称の完結されたプランです。本プロジェクトはその既存国際線ビルから南側一方向に拡張する増築計画ですが、計画当初は外国人旅客がこれほど伸びるとは想定されていなかったことから、あまり増築しやすい構成にはなっていません。従って、接続面のEXP.Jラインが複雑で、その取り合いにデザイン的にも技術的にも苦労がありましたね。

山口

既存のデザインを尊重しながら、新たな空間をつくっていくのは、楽しい反面とても悩ましく大変なものでした。本当にさまざまな案があったなかで、たくさんの絵を描き、検討を重ねた結果、既存のターミナルビルに見られる素材感や色彩、水平垂直ライン、プロポーション等のデザインの手がかりを共有しながら、新しい空間に相応しいアプローチをすることで、ターミナルビル全体として一体感がありながら、場所場所で受ける印象が異なるようなデザインを実現しています。

さらなる拡張性を意識しながら。

山口

今回は「北海道の雄大な自然」をテーマとして表現し、チェックインロビーや出発ロビー、ゲートラウンジ等、要所要所の空間で異なるデザインを展開しています。その中でも海外へ旅立つ人たちが集まるチェックインロビーは中心的な空間で、四周をガラス質の素材で構成し、旅客の主動線である南北方向に木ルーバーに天井を張ることで、奥行きがありどこまでも視線が広がっていくような、雄大な自然の「広がり」を表現しました。この広がりをつくるために、チェックインロビーの天井はできるだけ高く、かつ柱を少なくしてスパンを飛ばしたいところですが、一方で上層階にあるホテルの客室からの視界を開けたものにしたいという思惑もあり、チェックインロビーの天井を含む屋根架構は様々な条件をクリアする難しいものになりました。

そうですね、上からも下からも厳しい条件がありました。そのため、屋根架構は単材の平行弦梁を3mピッチで架け渡し、それらをY字に枝分かれした丸パイプの斜材で支えることで支点間距離を短縮して、梁せいを抑える計画としました。パイプ斜材と梁との取り合い部は木質ルーバーの隙間へ消えるようディテールを調整し、軽やかで浮遊感のあるチェックインロビーを目指しました。

山口

ここまで大きな規模の空間になると、通常はトラスで屋根を組み、そのトラスせいは2~3m程度になりますが、ここでは梁せい700mmで納めてもらいました。

構造的な合理性をもたせることは、コストの低減にも直結します。山口からは「今後の増築の可能性も考慮したい」という話もありましたので、デザインコンセプトに拡張性という部分を組込み、人々の動線・視線の方向へ連続的な空間が広がるような架構計画を考えました。意匠・構造ともに力を入れた空間となっています。

空港の機能が稼働したまま、設備システムを構築する。

長谷

空港は毎日稼動していて、その機能を止めることができないため、設備分野は電気も機械も動き続ける環境のなかで、増設や改修を行わなければなりません。それがもっとも重要な点ですね。電気設備としては主として既設のシステムの能力をどのような手法で向上させるかを検討しましたが、今回は既設を改修することで、コストを抑えつつ、パワーアップするという方法を選択しました。メンテナンスについても考慮し、設備も将来の拡張を見据えて予備スペース設けることなどで対応しています。

山口

設備担当の長谷、松本が増設パターンやメンテナンスコスト、拡張性など綿密な比較表をつくったうえで、結論を出しました。

長谷

意匠のプレゼンはパースがあったりして、視覚的にわかりやすいですが、設備の場合は機能や将来のメンテナンスのしやすさが強く求められるものもあります。機能としてこんなことができるというバリエーションと、それに伴うコストやスペースといった比較でプレゼンしていきます。

大胆な発想で、インフラを盛り替える。

松本

それに、設備設計は機械も電気も国際線ターミナルの範囲にとどまらず、連絡施設や国内線ターミナルまで含め、空港全体としてのシステムやインフラを検討する必要がありました。火災に備える防災システムや給排水システムなど、一体として考えるところまで及んでいます。

山口

当然のことですが、改修中も防災機能が低下しないような対策が考えられています。

松本

インフラである給排水管などは、今回増築する付近の地中に埋まっており、建物を増築するときには配管を撤去しなければならない。それも空港機能を維持させながらですから、それをどうやって実現させるか、知恵を絞らなければなりません。一例として、給水は国内線からバックアップ用に仮設として繋ぎ、盛り替えていくなど、運航に影響がないように柔軟な発想を持って計画しています。

空港設計の経験値が、若手のスピード感をバックアップ。

山口

このプロジェクトチームは設計を進めていくときに、スピード感と馬力がありましたね。チーム編成のときに偶然も手伝って、主担当に若手が集まったことが大きいですが、それだけではなく、社内に空港設計の経験値の高さがあってこそのスピード感だったと思います。空港として必要な機能や独特の寸法体系、構造的な要点、設備的な条件など、豊富な経験を持つ上の世代からアドヴァイスを受けることもできます。基本を押さえた設計力をもっていることはお客様の信頼をいただくことにもつながります。

実施設計の終盤にも関わらず急遽のプラン変更を求められたときもありましたが、やるしかないと腹を決めて、夜遅くから顔と顔を突き合わせて着地点を探り、次の日には答えを出すぐらいのスピード感覚でした。

山口

特に意匠設計の後藤は入社後初めて、これだけ大きなプロジェクトの設計を通しで担当しました。いくつかの機能のうち、多目的ホールとトイレを彼が概ね担当しています。多目的ホールはどのようなプログラムを想定するのかというところから始めて、空間構成や機能、デザインを決めていて、そのような打合せも後藤に任せて私たちがフォローする体制で進めました。トイレについては教育的な意味を込めて担当させました。トイレはチームで設計を進める上で様々な要素が詰まっています。意匠が一人でまとめるわけにはいかなくて、梁を避けたり給排水を入れたり、照明やサービスコンセントを計画したりと、構造、電気、設備等、いろいろな担当者と連携しないと設計できません。竣工後は旅客が使うものですから、お客様もとても気を使うところです。将来的に彼がプロジェクトの中心となって進めていける人材になるようにという期待をこめています。

後藤

トイレは増築部だけでも20カ所程設計しましたね。他空港の事例などを参考にしながら、実際にどれだけ配置したらいいか把握するために、何回か現地へ通って利用者数をカウントしました。また使われ方も重要です。ユニバーサルデザインはもちろん、空港ではキャリーケースを持ちこんだり、たくさんのお土産を持っていたりするので、通常の公共トイレのブースより大きめにつくるなど、細かいことに気をつけないと使いにくいものになってしまいます。プランから構造、設備まで、すごく勉強になりました。

山口

現在はまだプロジェクトの道半ば。これから施工監理が本格化するところです。お客様や空港利用者の方々には、供用開始されて使い続けていく中で、すばらしい空間ができたと評価をいただけたらうれしいですね。個人的には、やはり共用開始後はホテルに泊まり、ホールを使い、飲食や免税店での買い物をしてこの空港から海外へ飛び立ち、そしてまた帰国するという一人の旅客としての体験をして、私たちが創造した空間がどのように出来上がっているのかを体験したいと思っています。

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