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Teamプロジェクトチーム

新国立競技場整備事業
プロジェクトチーム

神宮の杜と調和する市民に開かれたスタジアム

日本のスポーツの聖地として、数々の名勝負が繰り広げられた国立競技場。その歴史を受け継ぎ、2020年に開催される東京オリンピックのメインスタジアムとして生まれ変わろうとしている。大地に根ざす「生命の大樹」として、エリア一帯の豊かな自然と調和し、市民に開かれた「杜のスタジアム」。世界が注目する巨大プロジェクトは、2019年11月30日の完成に向けて、工事が進んでいる。

  • 完成・引き渡し予定
    2019年11月
  • 所在地
    東京都新宿区霞ヶ丘町10番1号他
  • 規模
    地上 5 階/地下 2 階、延床面積 194,000 ㎡
    座席数:完成時約 60,000 席(将来、約8万席への増設が可能な計画)
  • 構造
    鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造他
  • プロジェクト期間
    2016年1月~2019年11月
  • 発注者
    独立行政法人 日本スポーツ振興センター
  • JV
    大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体

新国立競技場整備事業
プロジェクトチーム

神宮の杜と調和する市民に開かれたスタジアム

Team Member【設計・意図伝達者】

NOBUAKI TAGAWA

田川 伸明

1993入社

主幹
チームリーダー
(現場常駐)

HIDEKI KATAYAMA

片山 秀樹

1998年入社

副主幹
意匠担当
(現場常駐)

HIDENORI NAGASE

永瀬 秀格

2011年入社

主任
意匠担当
(現場常駐)

HIDETAKA DOI

土井 英尚

1998年入社

副主幹
法規担当(設計時)

YASUHITO FURUTA

古田 安人

1988年入社

主幹
ユニバーサルデザイン・サイン担当
(設計時:PM・意匠担当)

KYOHEI HAKATA

墓田 京平

2010年入社

主任
ユニバーサルデザイン・サイン担当

RYUICHI ISHIKAWA

石川 隆一

2014年入社

副主幹
BIM 担当

TAKAHIRO MIHASHI

三橋 崇弘

2014年入社

BIM 担当

Interview

プロジェクトの始まりは「大地に根ざした生命感あふれる大樹」

田川

話は旧計画からになりますが、デザイナーを決めるための国際コンペでデザインがザハ・ハディド案に決まり、今度は設計者を決めるプロポーザルが行われるということで、我々もエントリーして当選したのが2013年5月。そこから約2年間、死に物狂いで設計を進めて、約4000枚以上の図面を書き上げた矢先、忘れもしない2015年7月17日に白紙撤回。しばらくはショックで何も手につかない、抜け殻状態になりました。そんなある日にふと明治神宮に足を運ぶと、今まで気づかなかったのですが、そこには2本の大きな御神木がありました。もし再びチャンスがあるならこの大樹のように、どこから見ても緑を感じられるスタジアムにできないかと直感で思いました。その生命力に圧倒されて、「大地に根ざした生命感あふれる大樹のようなスタジアムをつくりたい」と思ったんです。再提案が決まったときそのアイデアを隈先生と大成建設さんと共有して、それが基本の理念となりプロジェクトはスタートしました。

永瀬

最終的なデザインが決まるまでは、スタジアム全体を緑で包む案や、木を縦に組んだデザイン案なども検証しましたが、根本的なテーマは1つ。チームの方針はぶれることなく「杜のスタジアム」を実現させるためにブラシュアップを重ねました。軒庇をデザインコンセプトの1つに掲げ、およそ3ヵ月で提案書をまとめ上げました。スタジアムの最上部には市民が日常的に散策できて、360°の景観が望める「空の杜」を計画。明治神宮外苑の杜と調和し、市民に長く親しまれるスタジアムを目指しました。

田川

旧計画時は、ザハさんのデザインで形が決まっていたので、それをくずさずに中身をどうするか、エンジニアに徹した部分がありますが、再提案はゼロからできる。隈先生と何度もディスカッションを重ね、スタディ模型やイメージパースを出す度にだんだんとコンセプトに近づいていきました。そして「杜のスタジアム」の構想が完成したのです。

アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる環境の整備

永瀬

アスリートが使いやすく、集中力を維持できる環境を提供するために、設計時には何度も関係団体者とのワークショップを行いました。新国立競技場でプレイする、サッカー、ラグビー、陸上それぞれの関係団体から要望を聞くことが目的です。また、日本アンチ・ドーピング機構からはドーピングコントロール室に対しての細かな要望をいただき、メディア関係者からはカメラポジションなどの位置を決めるためにヒアリングを行いました。さらにオリンピック特有の使い方をするため、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会とも協議を重ねて設計を進めていきました。最初は知らないことも多く正直戸惑いました(笑)
競技が違えば要求も違いますが、目指すところは「サッカーもラグビーも陸上もできるスタジアム」です。でも実際の選手動線は、サッカーならば選手専用バスの駐車場及び専用エントランスから、陸上ならばサブトラックから、といった具合に違います。すべてのアスリートが使いやすく、最高のパフォーマンスを発揮してもらうために、関係団体の理想も高く、その期待の大きさをひしひしと感じていました。各団体と何度も協議を重ね、理想のスタジアムを実現していきました。

全ての人が快適に利用できる世界最高のユニバーサルデザインを目指す

墓田

ユニバーサルデザインは、スタジアムのどの部分と限定するのではなく、施設全体、内部も外部も含めて、誰もが使いやすいデザインを追求することです。しかも目指すは世界最高峰の安心・快適さ。そのために、高齢者の方、子育て世代の方、各種障がいをお持ちの方々など多くの関連団体に参画いただいて設計・施工時あわせて計20回に及ぶワークショップを実施しました。エレベーター、トイレ、スタンド、サインなどテーマごとに詳細図を描いたり、イメージ図を描いたりして、それが本当に使いやすいデザインかをワークショップで細かい意見を吸い上げて、丁寧に仕上げていきました。それは設計時だけではなく施工時でも継続して実施しています。意見が相違した場合、何がベストなのかをみんなで協議し、理想に近づけていく作業が最も大変でしたが、やりがいを感じるポイントでもありました。

片山

陸上、サッカー、ラグビーのどの競技でも、観客の誰もが見やすい視界を確保することを大前提として、座席の配置を行いました。設計時はコンピューター上でシミュレーションを行い、現場では原寸のモックアップをつくりました。観客席まわりのボマトリー(出入口)や座席、手摺などの実物大検証を行い、観客の安全性や視認性を検証しました。また、観客席の色彩のテーマは「森の木洩れ日」に決まり、それを実現させるため実物大のモックアップをつくり、色の選定を行いました。最終的に5色の観客席とし、モザイク上に配置することで、日本らしい気品が漂うようなデザインになると思います。モザイク状にすることでスタンド内に観客がいなくても多くの観客がいるように見える工夫をしています。

土井

オリンピック大会時は6万人、将来計画として8万人が収容可能なスタジアム。それはこれまで日本には例がない巨大なスタジアムでした。そのようなスタジアムの安全性をいかに確保するかということが防災計画の重要なテーマとなりました。どのようにして8万人を安全に逃がすか、そのためにどのような動線を確保するべきか、通路幅や階段はどのように作るべきか、専門の先生方とも協議して進めました。特に世界最高峰のユニバーサルデザインということで、車いす利用者等の歩行困難者の方の安全性にも配慮しなければなりません。これまで事例がなかったことをはじめてやれたということではこの上ない幸せを感じています。

誰もやったことがないことを自分たちがやれる喜び

田川

このチームでよかったことは、話しやすい関係が築かれたこと。デスクの後ろに大きなテーブルがあり、何か確認や決定しなければならないときにはすぐにそこに集まって、話し合ってその場で解決していました。設計上悩んでいることがあったらひとりで抱え込むのではなく、みんなで共有しあってアイデアを出し合いました。何か問題がひとつでもあるとより良く改善しようと、常に前向きになれたチームでした。オリンピック自体初めての体験なので試行錯誤の連続でしたが、みんな諦めが悪くて(笑)。高いモチベーションで設計をやりきることができました。

永瀬

この建物はわかりやすく言うと、日本で一番大きなスタジアム(延床面積)を、都心の真ん中につくるということ。使いやすさや心地よさを追求する一方で、いかに安全なものをつくるかが根底にあります。8万人もの人がスタジアムを訪れたときを想定し、それを真摯に解いていきました。

片山

竣工まで、「より良くしていこう」という気持ちを持続させながら、なんとか時間に間に合わせなければなりません。それが我々の使命だと考えています。

田川

誰もやったことがないことを自分たちがやれるという喜びは大きいです。特に自分はスポーツ施設が専門なので、その頂点のオリンピックのメインスタジアムを設計できることが、本当に楽しくてしょうがないですね。

墓田

白紙撤回を経験して、再びプロポーザルに挑む形になりましたが、この敷地や建物の特性を知り尽くしているのは自分たちしかいないと自負していたので、自分たちがやらずして誰がやるんだ、という強い責任感と自信がありました。もちろん、いくら知り尽くしているとはいえ、この短期間で最高のスタジアムを設計するわけですから、つらいと感じることはたくさんありましたが、根っこにその気持ちがあることが大きなモチベーションになっていましたね。それはみんなが共通して持っていたスピリットだったと思います。

永瀬

梓設計は、本当に風通しが良い会社です。「やりたいことをみんなで実現しよう」という思いが強い。若手の意見でも先輩は真剣に聞いてくれるし、社長や副社長との距離も近く、直接意見も言える。その空気がどんどんチャレンジして新しいものをつくっていく体質につながっていると思います。梓にいるともっと新しいもの、もっと面白いものができると実感しています。

Team Member【監理】

SHUICHIRO SUGIYAMA

杉山 周一郎

1991年入社

副主幹
意匠担当
(現場常駐)

YOSHIO TAKAYANAGI

髙栁 佳生

1993年入社

副主幹
意匠担当
(現場常駐)

TSUBASA TASHIRO

田代 翼

2014年入社

電気設備担当
(現場常駐)

YUTA YAMANE

山根 雄太

2014年入社

機械設備担当
(現場常駐)

SAEKO MATSUURA

松浦 さえこ

2009年入社

副主幹
構造担当
(現場常駐)

CHUICHI YAMAKAWA

山川 忠一

1966年入社

意匠担当
(現場常駐)

SHOICHI KASHINO

樫野 昇一

1987年入社

参与
構造担当

HISASHI KOJIMA

小島 久史

1979年入社

構造担当
(現場常駐)

Interview

設計図書との整合性をとることで確保される品質管理

杉山

監理の仕事は、施工するために必要な設計の内容を示す「設計図書」に基づいて、建物の仕組みや安全性などの品質を確保する業務です。そのために、はじめに図面では読み切れないところを設計・意図伝達者から徹底的にヒアリングすることからはじめました。

髙栁

設計図書には、この材料を使いなさい、こういう造り方をしなさいなど、品質を確保するための詳細が書かれています。それを成立するために塗装ひとつとっても下地処理があって、下塗り、中塗り、上塗りなどの手順が細かく規定されています。施工者が塗布量や厚みなどを決められた工程できちんと施工していることを確認することが、イコール品質確保となります。

松浦

特に構造の場合は、品質管理が適切に行われているかどうかが、建物の安全性に直結してくるので、設計図書に示されていないことや法的に認められていないことは許可できません。私はこの現場に常駐して、施工者さんや職人さんが汗をかいて一生懸命作業している姿を毎日見ているので、皆で一緒にものづくりをしているということでは自然と仲間意識が芽生えてきます。でも設計図書通りにものができていない場合は是正を指示しなければなりません。だめなところはだめとはっきり言わなければ、監理者としての役割を果たしたことにはならないからです。そこは強い意識をもって、厳格に対応することを心掛けています。

ひとつひとつ着実に、丁寧に、それが設計監理の仕事

杉山

監理は設計図を具現化することなので、デザイン的に何を大切にしているのか、設計図からしっかり読み取ることが重要です。そのためにも一番大切なのは意図伝達者との話し合い。パース、CGなどを確認し、イメージの共有を図りました。

髙栁

これだけ大きな建物なので、ともすれば大味になりがちですが、大なり小なり同じことを着実にやっていくことが最終的にいい結果につながると思います。特に新国立競技場は複雑化しているので、それを現場でどのように納めていくかに十分な配慮が必要となります。設計図書に書かれているものを実現しつつ、品質を確保しながら、どうやって施工の状況を確認していくか、毎日が緊張の連続です。

田代

新国立競技場には特徴的な設備がたくさんあります。競技用照明設備や、競技用音響設備、陸上競技における計時計測機器、大型映像装置などスタジアムならではの設備です。競技が支障なく行われるためにも、ひとつひとつの設備が設計図書に記載された条件や各種基準に適合しているか、電気設備として法的条件をクリアしているかを着実にチェックしながら地道に作業に取り組んでいます。

山根

機械設備は建物規模が大きいので、扱う機器の数が桁違いです。また、他の建物であれば建築図が一番多く、電気や機械施工図面はその三分の一くらいですが、新国立競技場の場合は規模が大きい分施工図面も大量にあります。工事監理業務の中には施工図の管理と施工図の確認という作業もあるので、かなり大変な業務ではあります。

見えない部分の地道な努力が、見た目の感動につながる

松浦

梓の監理チームは、設計出身者がほとんどなので、当たり前ですが設計のことをよく知っています。そのため、施工がやりやすい方を優先したり、コストの安い方を選択したりと、判断が現場側に偏ることなく、設計意図を正確に理解し、忠実に実現しようと努めています。構造スタッフは、梓設計を代表する建物の構造設計をしてきた大先輩ばかりが揃っているので、監理者としても構造体(見えない部分)へのこだわりはとても強く、その品質や安全性に妥協をしません。そんな先輩方の姿勢は、私の目標となっています。

髙栁

一般のお客様はスタジアムが完成したら「すごい」とか「きれい」とか感動していただけると思いますが、それが成り立っているのは、目に見えない部分をしっかりやっているからと考えています。不具合や問題をおこさないということが重要となります。何か問題が生じると「中身はどうなっているの」ということになってしまいますから。

田代

設備も同じで照明や空調など来場者の目に見える部分を成り立たせる為に重要となるのは配管や配線、システムを構成する機器等の目に見えない部分です。運用時に何の問題も起きないという当たり前のことが来場者の安全に繋がりますので、細かいところまで確認を怠らず、責任を持って業務に取り組んでいます。

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