⼟庄町は瀬戸内海に浮かぶ小豆島の町の一つである。年間を通して過ごしやすい気候で、周辺には豊島や直島といった観光地があり、小豆島も観光客に人気の島である。のんびりとした瀬戸内海を高速艇で30分。島にたどり着く。 この庁舎は町民だけでなく、町が有するギネス記録の土淵海峡を訪れる観光客も横断証明をもらいにやってくる。町民の親しみやすさに加え、町や島の魅力を伝える役割も担う重要なプロジェクトであった。
木づかいの庁舎
⼟庄町には⾹川県唯⼀のSGEC森林認証機関である⼟庄町森林組合があり、ヒノキ材を中心に町産材を随所に活⽤した。ロビーや議場の壁・天井ルーバー材や窓⼝カウンター、議場内の木製建具などに活用し、木の温かさに包まれた空間を実現した。
小豆島の原風景
小豆島の冬の風物詩「そうめんの天日干し」をモチーフとした白く輝く西日対策ルーバーは、瀬戸内海の強い日差しを遮りつつ、柔らかに室内に光を届ける印象的なファサードとなった。暖かい白色が冬の青空にきらきらと輝く姿は町の方がおっしゃったようにとてもきれいだった。島の原風景は私たちの心にも強く残った。 水平庇は太⿎台（祭りの布団太⿎）をモチーフに、地場産材の花崗岩は⽬隠しのための⽯ルーバーとして、また、醤油樽をイメージした杉板型枠仕上とするなど⼟庄町らしいモチーフを各所のデザインに取り⼊れた。
フラット議場と拡張性
段差のないフラットな議場とすることで議会以外の多⽬的な利⽤も可能な計画とした。また、議場ロビーとの間は⼤型移動間仕切とすることで、議場ロビーも含めた⼀体空間として利用でき、将来にわたり様々な使い⽅に活⽤できるフレキシブルな空間となっている。